evo-devo青年の会
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Meeting Report

第10回Evo-Devo青年の会報告


 2017年6月17日から18日にかけて、国立遺伝学研究所にて第10会Evo-Devo青年の会「ポストゲノムEvo-Devo研学」を開催しました。
第10回の節目となる本会は、総勢49名の参加者が集いました。ハイレベルな招待講演からは大きな刺激を受け、参加者の発表では活発な議論が繰り広げられ、大変有意義で楽しい会となりました。以下、写真を交えながら当日の様子を振り返ります。

1日目:
 次世代シーケンス技術の台頭により、Evo-Devo研究にもポストゲノム時代が到来しつつあります。そこで、ゲノム情報という大量の文字列のなかから、発生進化のエッセンスをどのように汲み取っていくのか、そしてそこからどのようなパラダイムを見出していけるのか、ということをテーマとして、本会が開催されました。初日はそのような議論の場に相応しい、先進の進化発生学的学研究を展開する五名の招待講演から幕を開けました。

 一人目の講演者は工樂樹洋さん(理研)でした。ご自身のこれまで関わってこられた分子系統解析やゲノム解析の経験から、様々なゲノム情報が手に入る今だからこそ改めて注意しなければならない点について、実例を交えて紹介していただきました。特に系統樹上でオーソロジーを確かめることの重要性を示した例からは、ポストゲノム時代においても常に進化学の基礎を意識することの大切さを再確認しました。
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 二人目の講演者はYi-Jyun Luoさん(OIST)。3動物門(シャミセンガイ、ホウキムシ、ヒモムシ)もの新規ゲノム解読に中心的に関わり得られたデータから、各動物群における形態進化の背景を論じました。どの動物にも保存されたいわゆるツールキット遺伝子もさることながら、各動物門で特異的に獲得・増幅した遺伝子群の重要性を見出していた点が印象的でした。
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 三人目の講演者は濱地貴志さん(東大)でした。某大ヒット怪獣映画にEvo-Devoを見出す斬新なイントロで聴衆を惹きつけた後は、緑藻類のボルボックス系統で起きた雌雄異形生殖様式の進化について、系統内でみられる中間段階の生物を利用した研究を紹介してくださいました。ゲノムワイドな解析を上手く利用することにより、雌雄の生殖細胞分化の制御機構や、接合子形成に関わる因子の特定を効果的に進めておられました。
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 四人目の講演者は関亮平さん(遺伝研)でした。鳥類48種のゲノム情報を利用して、鳥を鳥たらしめているゲノム領域を特定する研究を紹介していただきました。大量のゲノム情報を利用しつつ、従来のウェット研究と華麗に融合させる様は、まさにポストゲノムEvo-Devoといった研究でした。また、ペンギンなどを用いた水かきの研究からは、ゲノム情報が利用できることによってあらゆる生物が実証的な実験の材料となり得ることを強く感じました。
 
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 この日最後の講演者は内村有邦さん(放影研)でした。 内村さんは、人為的に変異率を引き上げた”ミューテーター”マウスを継代し、内生的に現れる変異の効果を調べるという、とてもユニークな研究をされています。これまでに現れた様々な表現型を紹介していただき、ユーモアあふれる講演に会場が湧きました。また、ゲノムシーケンスを利用して、多細胞生物では変異がどのように生じ、どのように伝播するのか、という進化学の根源的な問いにアプローチする、非常に興味深い側面もご紹介いただきました。
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 招待講演の後は一般参加者によるポスター発表を行ないました。29題ものポスターが張り出され、各ポスター前にて活発な議論が繰り広げられました。
 会場を旅館に移しての懇親会も、ほぼ全員が参加し大変な盛り上がりをみせました。毎年恒例となりつつある懇親会のアイスブレイク企画も行われました。今年は「共同研究大作戦」と銘打ち、参加者の間で仮想の共同研究計画を立ててもらいました。全員の投票により、最も支援したい研究計画として、浦田さん、木下さんの共同研究が選出されました。例によって、議論は深夜まで続きました。

2日目:
2日目は一般参加者から三名の方に研究を紹介していただきました。
一人目は久永哲也さん(奈良先端大)で、苔類ゼニゴケにおける性決定因子の研究を紹介していただきました。
二人目は浦田悠子さん(京大)で、イモリの脳再生機構の研究を紹介してくださいました。
三人目は山下航さん(京都府立医科大)で、哺乳類の発達した大脳組織の進化についての研究を紹介していただきました。
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 会の締めは、ワールドカフェ形式のグループディスカッションを行ないました。テーマはそのままずばり、「ポストゲノムEvo-Devo研学」。もし、いま全ての生物のゲノム情報が手に入るとしたら、どのような研究を展開すべきか、という議題で、グループをシャッフルしながら話し合っていただきました。最後には各グループの議論の要約を発表してもらい、全体でアイディアを共有しました。
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 今やゲノム情報は日進月歩の勢いで増加しており、すべてとはいかないまでも望んだ生物のゲノム情報が容易に手に入る時代がすぐそこに来ていることは疑いようがないでしょう。本会を通して、それぞれのポストゲノムEvo-Devo研究を展望していただけましたら幸いです。
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 最後に、本会の開催にあたり、国立遺伝学研究所の石川麻乃さんには大変お世話になりました。また、本会は国立遺伝学研究所の研究会助成(NIG-JOINT)を受けて開催致しました。この場を借りてお礼申し上げます。

Evo-Devo青年の会幹事一同
(文責:古賀皓之)

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